内観とは
内観とは字に書いてある通り「内を観る」(自分を客観的、具体的に見る)方法です。
内観は浄土真宗の一派に伝わる「身調べ」を吉本伊信と師の駒谷諦信により改良されたものです。
身調べは厳しい修行法でしたが、内観は誰でも簡単に取り組めるように工夫されています。
内観の方法
- 対象を選ぶ
- まず、対象となる周囲の方(母、父、配偶者など)を選びます。
- 例:母親
- 年代を選ぶ
- 次に、その方に対しての自分の行動を年代順に思い出します。
- 例:小学校低学年の時の母親に対する自分
- どのように調べるのか(内観3項目)
- その年代にその方に対して自分が
- 1.してもらったこと
- 2.して返したこと
- 3.迷惑をかけたこと
- を思い出します。
- 調べたことを報告する(面接)
- 約1時間半に1回、面接がありますので、調べたことを報告します。(5分程度)
- 面接後は年代を進めて調べます。1時間後にまた面接になります。
- 例:小学校低学年➡高学年➡中学校➡高校
- 内観と面接を繰り返して自分を調べる(集中内観)
- 調べ(内観)と報告(面接)を繰り返し、現在まで3~5年刻みに年代順に思い出します。
- 母親が終わったら、父親、兄弟、配偶者等と対象を替え、自分を調べます。
- 例:母親➡父親➡兄弟姉妹➡配偶者➡嘘と盗み➡二回目の母親など
内観の目標
どのような逆境にさいなまれようとも、感謝報恩の気持ちで暮らせるようになることです。
われわれは、この世に教育を受けに生まれてきたのです。その教育というのは、どんな逆境にさいなまれようとも、他人の目には「あの人はかわいそうやなあ」と映ろうとも、どんな地位、境遇、立場、状況にあろうとも、「ありがたいなあ。わしみたいな悪い奴が今日も元気で達者に、こうして暮させてもろうて、幸せやな。どこ痛い、どこ痒いっちゅうことあらへん。本当に私は幸せやなあ」と、感謝報恩の気持ちで暮らせる、そういう心のすみかに大転換すること、これがこの世に生まれた目的であり、そのために教育を受けるのであります。
(引用:吉本伊信『内観への招待』)
目標を達成するために、一つの方法として内観を選ぶわけです。
内観の目的
大きく分けると、心の悩みの相談と解決、自己啓発、新たな自分の発見、に分類できます。
- 心の悩みの相談と解決
- 対人関係(親子、夫婦、職場、友人)、酒、ギャンブル、借金、非行、心身症、不登校等の悩み解決を目的とする。
- 自己啓発
- 社員研修、花嫁修業、就職準備等を目的とする。
- 新たな自分の発見
- 人生の意味・目標を見つけることを目的とする。
内観の効果
内観3項目を通して、自分と周囲との関係性を見直すことにより、悩みが解決したり、人生の目標が見つかることです。
実際、悩みが縁となって病気がなおったり、あるいは病気が縁で生きることが楽しくなったりすることが内観を通じておこるのであります。その効果については、病気を治そうと思っていたのだが、そのこと自体はどうなったかわからない。しかし、たとえば、親に対する自分の不平不満が感謝報恩にゴロッと変わった。「目指す目的はかなわなかったけれども、親に感謝する気持ちになれましたので、無駄ではなかった」という人が多い。いわば、内観は人生を何倍にも楽しませてくれる方法なのであります。
(引用:吉本伊信『内観への招待』)
内観の対象者
- 内観は本人の自発的な意思があったら、どなたでも、どのような理由でも受けることが出来ます。
- 年齢は不問です。当所には小学校高学年から80歳の方がお越しになっています。
- 未成年の方には保護者の方の同伴をお勧めしております。
- 医療機関に通院中の方は、まず主治医にご相談、ご了解をいただくことをお願いしています。